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胸になんか刺さった

クリエイティブディレクター西島知宏が、思考、企画、表現、言葉などについて書きます

ラジオCMの企画の仕方(考え方)について

こんにちは。雨嫌ですね。コメント欄にいくつか質問があったので答えてみます。

 

>Uさん

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はじめてコメントさせていただきます。西島さんは、寝かしたあとのコピーが「恥ずかしい」と思うことって、あったりするんでしょうか?一日寝かすと、客観的に見れるというのは、どこか深夜に書いたブログのエントリーが次の日にみたら、体温が2度あがるぐらい恥ずかしい時の自分の視点と通づるものがある気がします(笑)もしくはラブレターを書いたときのような。寝かすと良いものが生まれる、という点ではカレーに似てるんですけどね。

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寝かしたカレー異様においしいですよね。ちなみに僕も最近圧力鍋を買ったので、それでカレーを作るのが楽しみです。人間もカレーも圧力かけたほうがいい味出すんでしょうか。ちなみにコピーを恥ずかしいと思ったことは、昔はありましたが、最近はないです。というか自分が書いたコピーが一番だと信じ込んで、出します。信じ込む、って結構重要で、自信がない時って相手にも必ず伝わるし、自分で一番だと信じてプレゼンしたらコピーでも企画でも20%増し位にはなると思うんですよね。(あくまで20%増位です)

 

優秀な人は企画も面白いけど、プレゼンもめちゃくちゃうまい。以前、関西電通の先輩に聞いた話ですがすごく有名な関西電通の方がプレゼンに行く電車の中で上のカゴにカンプをのせようとしたら滑り落ちて(で、たまたま窓が開いててカンプがなくなったらしいんです)で、普通だったらカンプを取りに戻ったり、クライアントに謝ったりすると思うんですが、その方は「今日は、あえて何も持って来ませんでした。さぁ、皆さん目を閉じて下さい・・」ってプレゼンをしてしまったらしいです。

 

その方もたぶんカンプなんてなくても俺の企画が一番だ!って思っていたと思うんです。ただ、やっぱり信じ込むっていうのには(よほどのナルシストでない限り)限界があって、根拠が必要なんじゃないかと思うわけです。それが「誰よりも長く、誰よりも多く考える」ということです。僕は量が質を生むと思っていて、誰よりも長く、誰よりも多く考えた人は、それを続けてない人と数年後に圧倒的な差が生まれると思っています。

 

つまり1年目からずっと誰よりも長く、誰よりも多く考えれば少なくとも同期以下の年次の人には絶対に負けない、という理論です。(いや、もしかするといつか大御所の方々をも凌駕できるかもしれない、いや、必ず凌駕してやる!と本気で思っていました)だから恥ずかしいと思う時があるとしたらそれは「殆ど考えずにコピーを出す時」なんじゃないかな、と思います。いっぱい考えて下さい!コピー200個以上が基本単位です。

 

>Mさん

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今月からラジオCM講座を受講するのですが西島さんはラジオCMを考えるときもコピーを考える時みたいにいっぱい書いて寝かすという作業をするんですか?ラジオCMの考え方、作り方がわかりません

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ラジオいいですねー。ラジオ大好きです。自分で企画も演出も、時には出演もできる。夢のようなメディアです。電通時代は通常のラジオ作業に加え、電通賞用とかACCチャレンジとかいうのがあって死ぬほど企画させられてました。最近は殆どないですが・・。

 

でもその時はたくさん考えてましたよ。でもちゃんと原稿にするのは本当に最後の最後で、タグラインだけとか、台詞だけとか、視点だけとか、部分的にたくさん出して行って最後にまとめるという感じでした。ラジオって一般的には、(というか1年目の時に研修で習ったのは)「まず、タグラインを決めてそこに落ちる様に上の企画を考えろ」って言われてますよね。

 

でもそんなやり方しても企画が面白くならないっていうのを途中から気付いてしまうんです。なぜならタグラインも企画だからです。「まずタグラインを決めて」が一番難しいんです。「まず」じゃなかったんです。だから僕が途中から気にしてたのが「キャッチコピーのテクニック」を使うというものでした。その中でも重宝するのが、

(2)商品の価値を極限まで拡げる

(3)商品がない不具合を極限まで悪化させる

(8)新しい価値を定義する

 

まず(2)と(3)使い方ですが、こっちはとりあえずオリエンシートに書いてあるショルダーコピーっぽいものを最後に置いてみて、(例えばカロリーメイトゼリー)”あっさり10秒で栄養補給ができる”だったら・・・

 

(喫茶店の雑踏)

SE:カランカラーン

客:モーニング1つ

(間)

店員:お待ちどうさまです。モーニングの・・濃厚バターで作ったデミグラスソースTボーンステーキ付きオムハヤシライス南部さん家のこだわり黒豚しゃぶシャブシャブバンバンジードレッシングサラダ添え変わりダネフルーツ盛りだくさんシェフのこだわりチョコレートフルーツサンデーババロア付きビスケット付き・・(FO) 

NA:あっさり10秒で栄養補給なら、カロリーメイトゼリー

 

みたいにあり得ないくらいあっさりしていない状況を作ってみてはどうでしょうか。(あんまり面白くないですけど・・)逆も同じでめちゃくちゃあっさり食事ができすぎて、朝やることないから勉強時間が増えて不良息子が東大に合格してしまった、カロリーメイトのおかげだみたいにすればいいんじゃないでしょうか。(結構適当に考えてますけど・・)

 

次に(8)ですが、これは勝手に商品を定義してしまうんです。以下、僕の好きなラジオCMで解説します。

 

ライオンバイタリス薬用育毛トニック/お天気速報篇20秒

SE:(街頭のノイズ)

   カッカッカッ(2人の足音)

   カッ(止まる)

部長:おい、ちょっと待て。

部下:なんですか、部長。

部長:降ってきたぞ~。

部下:こんなにいい天気ですよ。

部長:いいや、ぜったい降ってきた。ワシにはわかる。ワシにはわかる・・・。

 女:一番最初に雨を感じるあなたへ。

  N:バイタリス薬用育毛トニック。ライオンから。

<コピーライター:佐藤章さん>

 

これはまさに新しい価値の定義ですよね。「育毛剤は一番早く雨を感じでしまう人のものだ」という。次にこれ

 

晴海屋/屋形船で宴会「ぞうさん」篇20秒

  男:屋形船での星空宴会を記念して宴会芸しまーす。

 女たち:パチパチ

   男:ほーら、ぞうさんだよ

 女たち:キャー

   男:ほーら、ぞうさん起き上がったー

 女たち:キャーやめて~

    N:女子社員を逃がさない。屋形船で宴会、晴海屋。

<コピーライター:林尚司さん>

 

完全にセクハラですけどね。でもこれ大好きなんです。いけませんか?「屋形船は女子社員を逃がさないもの」という定義ですね。コピーを書きまくってそれをタグラインにして、企画をブブカ並みにジャンプして下さい!ラジオ楽しいな~。

異様に長くなってしまいましたが、今日はこんな感じです。

 

著書『思考のスイッチ ~人生を切り替える11の公式~』もよろしくお願いします

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