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胸になんか刺さった

クリエイティブディレクター西島知宏が、思考、企画、表現、言葉などについて書きます

児島令子さんの日本ペットフードのボディコピーを読んで想うこと

広告(コピー)企画論

昨日やっと作業が落ち着いたので事務所でTCC年鑑をパラパラ

 
めくっていた。
 
で、コピーライターの総合的力量はキャッチよりボディに出る
 
のだと改めて気づかされた。児島令子さんの日本ペットフード
 
「死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。」の
 
ボディコピー。
 
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死ぬのが恐いから
飼わないなんて、
言わないで欲しい。
 
おうちを汚すから飼わないというなら、
犬はお行儀を身につけることができる。
 
留守がちだから飼わないというなら、
犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。
 
貧乏だから飼わないというなら、
犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。
 
だけど・・・死ぬのが恐いからって言われたら、
犬はもうお手上げだ。すべての犬は、永遠じゃない。
いつかはいなくなる。でもそれまでは、
 
すごく生きている。すごく生きているよ。
 
たぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、
飼い主たちは、大変であつくるしくって、
幸せな時間を共有しているはず。
 
飼いたいけど飼わないという人がいたら、伝えて欲しい。
犬たちは、あなたを悲しませるために
やっては来ない。あなたを微笑ませるためだけに
やって来るのだと。
 
どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよと。
 
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すごいと思った。
 
「すごく生きている」。こんな言い方はしないかもしれない。
 
しかし、伝わる。「すごく生きているよ」と繰り返された
 
ところで涙が出そうになる。
 
普段ボディコピーを書いていて、文法とか、日本語とかにとらわれ
 
すぎていた自分の頭をトンカチで殴られたような衝撃を受けた。
 
「広告コピーは伝えられるために存在する」。
 
正しい日本語より、伝わる日本語を、誠実に、丁寧に書く。
 
これが重要だと改めて思った。
 
「誰もが共感するコトを、誰も表現したことのコトバで表現する」
 
それがプロだと・・。
 
 
また、普通の書き手なら最後のブロックで。
 
どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみなのだから。
 
と書くかもしれない。(僕も書いてしまうかもしれない)
 
そこを、少しチャーミングさを残して読後感を操作するのも
また児島さんが児島さんである所以なんだと思った。
 
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どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよと。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
最近、コピーライターはどうなるとか、クラフトがどうとか
 
コミュニケーションデザインがどうとか議論されているが、
 
「伝えられる人」にとってはそんなことどうでも良くて
 
「伝える人」が変わりゆく広告(コミュニケーション)環境の中で
 
自分の立ち位置(競争優位性のある自分の技術)を駆使し、
 
最適なチームワークのもと、結果的にマスと言われるボリュームの人に
 
「伝えるべきこと」と「ドキドキ」を伝えるという当たり前のことを
 
見失わずに続けていくことが大切なんだと(少し、いやけっこう)思う。
 
 
児島さんのボディコピーは、改めてそう思わせてくれた。
 
 
「誰にも負けないことは何ですか?」
 
そう聞かれて胸を張って言える「何か」を若い人には持って欲しいと思う。
 
僕もいつかは言ってみたい。

 

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