胸になんか刺さった

クリエイティブディレクター西島知宏が、思考、企画、表現、言葉などについて書きます

クリエイティブは専門家になってはいけないの?|「シンプルに考える」書評

先日以下の記事でご紹介した元LINE森川さんの本を週末に読んでみました。

全般的に凄く参考になったのですが、その中でも特に気になった箇所が2つあったので広告のクリエイティブ作業に当てはめて書いてみたいと思います。

専門家になってはいけない。専門家は本質を見失ってしまう。いわば、リフティングの名手。ゲーム中ゴールを決めなければいけないのにリフティングをはじめてしまうようなもの。

ダイヤモンド社「シンプルに考える」より

これ、笑っちゃいましたが、広告作業にも当てはまりますよね。例えば自分がコピーライターだったとして、CMだったら繋いだ編集を見て「このコピー変えます」と言えるか、グラフィックだったら「この原稿、コピーいらないすわ」と言えるかどうか。コピーライターとして「コピー無し」という判断ができるかどうか。自分のコピーを残したいがために全く画と合わない、または画解き(画を説明)してしまっているコピーを変えなかったり、無駄にコピーをでかめにレイアウトしてもらったり、見る消費者にとってどう思われるかを見ずに、自分本意で考えてしまうのは自戒の意味も込めて、陥りがちな罠なのではないでしょうか。

 

一方で誰にも負けない何かを持った専門家が、得意技をいくつか持つとどうでしょう。つまりコピーも書けるし、ムービーのプランニングもできるし、例えば演出もできるとか。そうすると完パケベースで総合的に判断できるんですね。全部自分の担当なので差し引きができる。こうなるのが理想的ですよね。しかし、注意しないといけないのは、はじめからスペシャリストではなくジェネラリストになろうとしてはいけないということなのではないでしょうか。手持ちの武器がすべて並。そうすると個性がなくなり、その人を試合に出す意味そのものがなくなってしまうんですね。自分の専門分野に安住してはいけないということなのかもしれませんが、誰にも負けない「何か」を持ちつつつねに変化を楽しみながら新しいスキルにチャレンジして行くことが大切なのではないでしょうか。

 

もうひとつ気になった箇所をあげます。

重要になるのがデザイナーの存在。デザイナーというと、綺麗なレイアウトを考える人というイメージがあるかもしれませんが、それはまったくの誤解です。むしろ、自分の好みの「見た目」にこだわるのは悪いデザイナー。本当に優秀なデザイナーは、自分の好みは一切排除して、「ユーザーにとって使いやすいかどうか」を徹底的に追及するのです。

ダイヤモンド社「シンプルに考える」より

なるほど。そうですよね。広告クリエイティブで一番厄介なのは自分を芸術家か何かと勘違いしてしまうことなのではないでしょうか。広告って数人のパトロンのような人に才能を認めてもらってその人達に評価されればいいというものではなくて、いかにその表現で最大公約数を狙うかなんですね。何も考えずに見ている人に、数秒で「何がしたいか」を分からせる行為なんだと思います。何をしてるかを分かってもらった上で、その商品を買いたいと思わせるか、この企業って面白いと思わせるか、それは戦略ごとに異なるんだと思うのですが、シンプルに言うと広告クリエイティブはユーザーのためにあるものなんだと思います。だから森川さんのおっしゃるように自分のデザインスキルを磨いて「納得」とともに「驚き」をいかに作っていけるかがデザイナー、そしてクリエイティブを仕事にする人が目指すべきところなのではないか、とこの本を読んで思いました。

シンプルに考える

シンプルに考える

 

「納得」と「驚き」=新しいということにもつながるのでその辺は以下の記事に少し書きました。

それでは雨ですが良い一日をお過ごし下さい!

 

著書『思考のスイッチ ~人生を切り替える11の公式~』もよろしくお願いします

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