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胸になんか刺さった

クリエイティブディレクター西島知宏が、思考、企画、表現、言葉などについて書きます

街で見かけた名コピー「あの歌みたいなクルマをつくれないか。」

今日、表参道駅で、気になるポスターを発見しました。トヨタの「東京モーターショー2015」用のもの。タグラインは「WHAT WOWS YOU」。かっこいいですねー、洒落てますねー。

で、気になったのはその脇に置かれていたキャッチコピー「あの歌みたいなクルマをつくれないか」。アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング)でも述べられている通り、すべての新しいアイデアは「既存の要素の新しい組み合わせ」なので、新しいコピーもまた「既存の言葉の新しい組み合わせ」である訳です。

このコピーが「新しく見えた」のは「歌」と「クルマ」を並べたからではないでしょうか。自社のクルマの目指す方向性を「歌」だと定義する所に、トヨタの「新しさ」と「ビジョナリー」を感じたのですね。

一方で「新しい組み合わせ」は「腑落ち(共感)」されないと制作者の自己満で終わってしまいます。糸井重里さんが書かれた「おいしい生活」のように、「驚き」と同時に「腑落ち(共感)」を生むコピーこそが「新しいコピー」のもう一つの必要条件と言えそうです。

では、なぜこのコピーが腑に落ちるのか(私には腑に落ちたのか)。それは、歌とクルマに共通する「最大公約数的なノスタルジー」を抽出したからだと思います。クルマにはまだまだその「共通認識」は薄いかもしれませんが、歌には「その頃の自分」を蘇らせるスイッチのようなものが備わっていますよね。「あー、この歌が流行っていた頃、俺は予備校に通って必死で勉強してたな」とか・・。

つまり、このコピーを言い換えると「今までも、これからも、トヨタの中にはあなたがいます」となるのだと思います。ビジュアルにあえておかっぱの女の子を選んだのも「最大公約数的ノスタルジー」を呼び起こしやすくするための演出だったのではないでしょうか。

 

 

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